残置物は、自宅や店舗などを退去する際に、本来借主が持ちだしたり廃棄したりしなければならないものがそのまま残されたものです。
貸主と借主の契約にもよりますが、本来であれば借主側が撤去費用を負担して部屋を引き渡す必要がありますが、諸事情により私物がそのまま残されたままだと、次の借主との契約ができません。
状況によっては貸主が撤去費用を負担しなければならないこともあります。残置物の量や部屋の状況によっては自分で対応することができないケースがあるので注意が必要です。
この記事では残置物をどのように処理したらいいのかわからない方や、なるべく処分にかかる費用を抑えたい方に向けて、残置物撤去の仕方や安く抑える方法について詳しく紹介しています。残置物撤去に関してお困りの方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
この記事を読んでわかること
- 残置物とはどのようなもの?
- 残置物を撤去する4つの方法
- 残置物を撤去する費用相場
- 残置物撤去の優良業者を選ぶ3つのポイント
- 残置物撤去の費用を安くする4つのコツ
残置物とはどんなもの?
残置物は主に不動産業者や解体業者、片付け業者などのあいだで使われる専門用語のひとつです。残置物とは本来、自宅や賃貸物件・店舗などからの退去時に持ちだしや廃棄が必要にもかかわらず残された私物を指します。
一般的に引っ越しのときに出るごみと同じ扱いです。引っ越しごみとの違いは不動産業者から不用品回収業者や片付け業者などの業者に依頼する場面で「残置物撤去」という言葉が使用されます。
残置物は空家や夜逃げ物件などで居住者がわからない状態で依頼されることも多いです。家財道具が一式残った状態のまま依頼されることもあるため、家電や家具、布団などの粗大ごみが多く、自分で行おうとすると時間も手間もかかってしまいます。
業者を利用すると費用がかかってしまいますが、別の居住者を募集する場合は早めに対処した方が損失を防ぐことにつながるでしょう。家財道具がほとんど残った状態であったり、処分する量が多かったりする場合は業者に依頼することをおすすめします。
残置物処分の費用相場
残置物撤去にかかる費用は、1立法メートルあたり8,000円から15,000円ほどが相場といわれています。
ただし、実際に遺されている不用品の量や種類、部屋の状態によって費用は変動します。一般的な一軒家の残置物を撤去する場合は、30万円ほどが相場です。
たとえば家財道具が2階以上の場所から1階に降ろす場合や、部屋のクリーニングまで依頼する場合など別途オプション料金が発生する場合があるので、あくまで目安としてお考え下さい。
残置物を処分する方法
ここでは残置物を撤去する方法を紹介します。どのような方法で残置物を処分したらいいのか迷っている方は参考にしてください。
自分で処分を行う
残っている家財道具が少ない場合や、自分でトラックを手配できる場合など、自分で作業を行った方が一番安く作業をすすめることができるでしょう。ただし手間と時間、労力がかかることがデメリットです。
不動産経営を視野に入れて次の入居者を早く迎え入れる準備を整えたい方や、自分で作業を行うだけの労力をかけていられない方は業者に依頼することをおすすめします。
不用品回収業者を利用する
自分では運び切れない大型家具を複数まとめて処分したい場合や、物を処分するだけで原状復帰が不要な場合などは不用品回収業者を利用しましょう。不用品回収業者ではパックプランを提供している場合や、買取を行っている業者もいるので、うまく業者選びを行えば手間や料金をかけることなくスピーディーに作業を終えることができます。
自分である程度の不用品を処分するだけでも料金を抑えることができるため、楽に早く残置物撤去を行いたい方は不用品回収業者の利用をおすすめします。
遺品整理業者を利用する
親族が亡くなって遺品整理が精神的・肉体的につらくて作業が進まない場合は遺品整理業者の利用をおすすめします。
遺品整理を行う場合は、家財道具を処分するだけではなく、形見分けや資産の分配など重要な書類の仕分けや、場合によっては専門的な知識に基づいて処分を行う必要がでてきます。
遺品整理業者の中には、専門のアドバイザーが在籍していることがあるため、相談しながら遺品整理を進めていくことができ、不必要な家財道具もまとめて処分してもらうことが可能です。
心身的につらい場合は心のケアをしてくれることもあるので、心に寄り添いながら作業を進めていけるパートナーが欲しい方は遺品整理業者の利用をおすすめします。
ただし遺品整理業者に依頼する前に、自分自身でもわかる貴重品や金品、価値の高いもの、どうしても処分したくない故人との思い出の品は間違って処分されないように別にして分けておきましょう。
処分や価値に迷うものも別に分けておいて、業者が来た時に相談しながら作業を進めていくと確実です。
遺品整理を後回しにしてしまうと形見分けや資産分配が複雑化してしまう可能性があるので、なるべくスピーディーに作業を進めたい方は、利用を検討しましょう。
特殊清掃業者を利用する
孤独死や物をため込んでごみ屋敷になっているケースで、部屋の損傷やにおいがひどいと通常のハウスクリーニングだけではきれいにならないことがあります。
部屋の除菌や消臭、部屋の原状復帰など、残った家財道具を処分するだけでは不十分な場合は特殊清掃業者の利用を検討した方がよいでしょう。
ただし料金が割高になることがデメリットといえます。
損傷がひどいほど料金も高くなる傾向にあるので、特殊清掃業者を利用するときは料金を高めに見積もってから依頼を検討するとよいでしょう。
優良な残置物撤去業者の選び方3選
残置物撤去に対応している業者の中には、相場よりも高い料金を提示しておきながら不法投棄を行う業者や、見積もりを行った後にさらに高額な料金を請求してくる悪徳な業者もいます。
ここではトラブルに巻き込まれないように優良な残置物撤去を行っている業者を選ぶ3つのポイントを紹介しています。
優良な残置物撤去の業者を選んで最後まで気持ちよく取引を終えたい方は、参考にしてください。
見積もりが明確で経験が豊富な業者かどうか
悪徳業者は後から証拠が残らないように、見積書や明細などの明確な料金がわかるものを提示しないことがあります。しっかりと見積書を作成してくれる業者の場合は、トラブルが起こった際に証拠として提示できるので安心です。
さらに何にいくらかかるのかを確認することができるため、あらかじめ価格の交渉をしやすく予算を予想しやすくなるメリットがあります。また経験が豊富な業者に頼むことで、室内を傷つけないような配慮や撤去に関するアドバイスをもらうことも可能です。
トラブルに巻き込まれたくない方や優良な業者にまかせたい方は、見積もりが明確で経験が豊富な業者に依頼するようにしましょう。
行政から許可を受けている正規業者かどうか
残置物を処分するには「産業廃棄物収集運搬業」の営業許可証が必要です。産業廃棄物はマニフェストにのっとって処分しなければなりません。マニフェストは業者の不法投棄を防止する目的として作られています。
もしも悪徳業者に依頼して不法投棄を疑われてしまった場合、こちらが責任を負う事態になりかねません。不法投棄によるトラブルを防ぐために、行政から認可を受けている正規業者かどうかを確認しておきましょう。
見積もり時や作業終了時には証拠となる書類を受け取っておくと、トラブルが起こった時に活躍するので、必ず明細は控えておくことをおすすめします。
サービスが行き届いている業者かどうか
残置物の状況によっては不用品を処分するだけでは原状復帰が難しいケースがあります。においや汚れがひどい場合はハウスクリーニングが必要になることもあるので、利用する業者がどこまで請け負ってくれるかを確認しておくと手間を省くことにつながるでしょう。
ただしハウスクリーニングまで行う場合はオプション料金が発生する可能性があるので、事前に依頼する業者のホームページを確認してから依頼することをおすすめします。
特に汚れがひどい場合は自分で薬剤を使って落とそうとすると塗装が剥げてしまい、修繕費がかさむことがあるので注意が必要です。汚れの状態がひどい場合はハウスクリーニングを専門的に行っている業者を視野に入れて選ぶとよいでしょう。
残置物処分の費用を安くする4つのコツ
ここでは残置物撤去の費用を安く抑えるコツを紹介します。なるべく料金をかけずに作業を終えたい方は、参考にしてください。
複数社から見積もりを取る
業者によってプラン内容や、どんなことにオプション料金が発生するのか、サービス内容が異なります。
家財道具の位置や量によっても業者によって価格が変動する場合や、料金の交渉次第で安くしてもらえる業者もいるので、少しでも安く料金を抑えたい方は複数社に見積もりを取ってから料金の比較を行いましょう。
お急ぎの場合は一括査定サイトを利用することで一気に査定見積もりを取ることができます。
ただし、料金の交渉や買取を行っている業者の場合は実際に見積もりを取ってもらった方が価格交渉ができたり、実際の対応を知ることができたりするのでおすすめです。
自分でできそうな処分は自分で行う
業者に依頼する場合は、残置物の量によって価格が変動する場合が多いです。
また、処分すべき不用品の量が多いと人件費もかかるので、オプション料金が発生することがあります。
自分で処分できるものは自分で処分して量を減らすだけでも料金を抑えることにつながります。
少しでも残置物撤去にかかる料金を抑えたい方は自分で処分できるものがあれば、なるべく自分で処分して量を減らしてから業者に依頼しましょう。
補助金を利用する
自治体によっては空き家の流通を促進するため、残置物撤去に関する補助金を交付している場合があります。
たとえば2023年現在、愛知県春日井市の場合、対象経費の2分の1(上限金額10万円)で空き家残置物撤去交付金が支給されています。
申請には条件や期間があるので、事前に自治体のホームページを確認してから申請の準備を行いましょう。
買取も行ってくれる業者を選ぶ
業者によっては、まだ使用できそうな家財道具や家電を買い取ってくれることがあります。
残置物のなかにまだ利用できそうな品物が多いと感じる場合は買取も行ってくれる業者に依頼した方が利用料金を安く抑えることが可能です。
買取も行っている業者のホームページによっては、どんなものをいくらで買い取ってもらえるのかを一覧で掲示している場合があります。まずは気になる業者のホームページを確認しましょう。
買い取ってもらえそうな品物が多い場合は、買取金額から利用料金を差し引いてくれるので利用料金を抑えることにつながります。
残置物を適法に処分する必要性とは
本来であれば、残置物を処分する義務は撤去する前の借主にあります。しかし、借主が事情により家財道具や生活用品一式をすべて放置したまま退去してしまうと貸主側が撤去を行う事態になりかねません。
1998年に国土交通省より「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表したことにより運用体系の切り替えがはじまりましたが、トラブルはゼロとはいえません。
契約や退去時に借主と貸主双方の確認事項として扱うことは必須といえますが、残置物が発生してしまった場合は、次の借主に提供するために適切に処理することが求められます。
残置物の処分|まとめ
残置物を撤去するには、残された品物や部屋の状況に合わせて適切な業者を選ぶことが重要です。
状況に合わせて適切な業者を選ぶことで、スピーディーに作業を進めることができ、不動産経営を行っている方であればスムーズに次の借主に部屋を案内することができます。
ただし依頼する業者によって、料金やサービス、強みが異なります。
少しでも費用を安く抑えたい方は、複数社に見積もりを依頼することで絞り込むことが可能です。
効率的に残置物を撤去するには各業者の特徴を把握してから適切な業者に依頼しましょう。
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